■最近の学会発表一覧

発表題目年月学会名・会場概要
中学校社会科公民教科書における最近の動向-「人権と日本国憲法」に関する記述を中心に-2024年11月第74回日本社会科教育学会全国研究大会(琉球大学)

※発表要旨(pdf)
最新(令和7年度使用版)の中学校公民教科書における「人権と日本国憲法」を中心とする記述について、現行版と比較しつつ分析した。その結果、①立憲主義の重視、②社会の変化への対応、③当事者性・主体化等の特色が見られる一方、課題として①当事者性・主体化の促進、②一部教科書の現実重視へのシフト等を指摘した。併せて教科書記述の「多様化」傾向に対する課題について触れた。
中学校社会科公民的分野における「指導書・解説」の変遷-計量テキスト分析による考察-2024年6月第34回日本公民教育学会全国研究大会(愛知教育大学)

※発表要旨(pdf)
文部(科学)省による「指導書・解説」の当該記述部分について、計量テキスト分析により特質と変遷を考察した。共起ネットワーク分析では「社会」「学習活動」において2008年以降の変化が確認され、また「福祉」が「経済」から「国際」の文脈で記述される傾向にある。一方、現行版を基準としたクラスター分析では、変遷の「画期」を見出すことが難しい一方、現行版の独自性が比較的強いことから、現行版が「公民的分野成立以来の転換期」となる可能性も示唆された。
中学校社会科公民教科書における「人権と日本国憲法」に関する記述の変遷(Ⅱ)-教科書本文の計量テキスト分析による考察-2023年10月第73回日本社会科教育学会全国研究大会(東京学芸大学・筑波大学共催)※オンライン発表

※発表要旨(pdf)
同年6月(第33回日本公民教育学会)の続報である。学習指導要領に続き、「公民的分野」成立以降の公民教科書(計81種)の計量テキスト分析により、「人権と日本国憲法」に関する記述を考察した。教科書記述を12の「記述要素」に分類してその変遷を分析したところ、「回帰」「負の回帰」「経年変化」「ほぼ不変」の4つに分類されるとともに、記述の類似性から「教科書発行者ごとの傾向性」を示した。さらに近年、教科書間の記述のばらつきが大きくなる傾向にあることも明らかになった。
中学校社会科公民教科書における「人権と日本国憲法」に関する記述の変遷2023年6月第33回日本公民教育学会全国研究大会(埼玉大学)

※発表要旨(pdf)
教科書の前提となる「公民的分野」成立以降の中学校学習指導要領(6種)の計量テキスト分析を行ったところ、「経年変化的側面」と「回帰的側面」が抽出された。それを踏まえ、同時期の公民教科書(計81種)の当該記述を横断的に分析した。その結果、学習指導要領と同様の2つの傾向性が観測されるとともに、「負の回帰」「形を変えた回帰」など、2つの傾向性の中に複雑な内実が存在し得ることが示唆された。
中学校社会科公民的分野における「立憲主義」の取扱い-教科書の記述に着目して-2022年10月第72回日本社会科教育学会研究発表大会(信州大学)※オンライン発表

※発表要旨(pdf)
近年、憲法学及び社会科教育において立憲主義が注目されている一方、「立憲主義が国民の間に定着していない」との指摘がある。そこで、「立憲主義の伝統的理解」を尊重する立場から、中学校公民教科書の記述を分析した。それを踏まえ、立憲主義の教材化の方向性として、①「(国家)権力」と向き合う、②立憲主義と民主主義との関わり、③「平和への志向」を含めた「立憲主義」の3点を指摘した。最後に「文化としての立憲主義」について触れた。