汽車旅の記憶(12) 陸羽東線【2024年3月】

■消えた「亜幹線」
国鉄時代、全国の路線は大きく次の3つに分類できたように思います。
○幹線:長距離の特急・急行や貨物列車が数多く運転され、「交通網の骨格」を担う路線
○亜幹線:都市間を結ぶとともに、幹線の補完やバイパス的な役割を担う路線
○ローカル線:主として「地域の足・日常の足」を担う路線
(この意味では、山手線なども「ローカル線」かもしれない)
東北本線の小牛田駅と奥羽本線の新庄駅を結ぶ全長94.1kmの陸羽東線は、私が最初に訪れた1986年当時、「典型的な亜幹線」でした。仙台と青森や秋田を結ぶ急行列車が毎日運転されるとともに、災害や大規模な工事等の折には上野と秋田・青森方面を結ぶ長距離特急・急行の迂回路にもなっていました。私自身も急行列車に乗車しています。
しかし、今はすっかりローカル線の佇まい。急行列車は廃止され、全線を直通する列車自体が3~4本(うち1本は臨時列車)まで削減されています。このような「亜幹線解体の動き」は全国的に見られ、現在のJR各路線は幹線とローカル線に二極分化したと言えます。そして、亜幹線的な役割は高速バスに取って代わりました。
2024年3月、40数年ぶりに陸羽東線を訪れました。新庄を出て最上川の支流を遡っていくと、やがて県境の峠越えとなり、鳴子温泉に到着します。鳴子温泉からは列車の本数も増えるので、途中下車してひと風呂浴びても、次の列車の心配は少なくなります。鳴子温泉を出ると、新幹線停車駅の古川を経て終着の小牛田です。
この40年で、車両が大きく変わりました。現在の普通列車用車両は、かつての特急用車両と比較しても、車体は軽くなり、エンジンはパワーアップされています。その結果、特に勾配に強くなっており、新庄-小牛田間で所要時間が2割以上短縮されています。そのことは、急行列車が廃止されたことへの「救い」ともなっているようです。

