汽車旅の記憶(11) 「山形新幹線」【2024年3月】

2017年11月、私は(当時の)JR全線に乗車していますが、「山形新幹線」に初めて乗ったの2024年3月です。矛盾した話のようですが、実は「山形新幹線」とは「新幹線の車両が東京-山形-新庄間に直通すること」に対する「通称」であり、路線名としては東京-福島間が東北新幹線(これは正式名称)、福島-新庄間は今でも「奥羽本線」です。実際、国土交通省鉄道局監修「鉄道要覧」に「山形新幹線」という路線は掲載されていません。従って路線単位で「乗ったか、乗らないか」という話になると、「福島-新庄間は学生時代の1981年3月、夜行列車に乗りましたが…」ということになります。「山形新幹線」開業の10年以上前のことです。
さて、昨冬、JR東日本が「平日限定1日乗り放題1万円」という通称「キュンパス」を発売しました。「新幹線にも乗れる」ということで一念発起、40数年ぶりに奥羽本線を再訪し、「山形新幹線の初乗り」にチャレンジすることにしました。
福島から「奥羽本線区間」に入ると一気にローカルムードが高まり、板谷峠越えの難所にさしかかります。手元にある1980年10月号の時刻表で在来線時代の特急「つばさ」と比べると、福島-米沢間で約10分程度の短縮、というところでしょうか。その後は平均10数kmごとに停車駅があり、山形を経て終点の新庄まで約1時間半前後で走ります。この所要時間は在来線時代とほとんど変わらないのですが、停車駅はかつての急行並みに増えています。
実際に乗ってみて、「山形新幹線の利便性」とは、「東京-福島間の高速走行で速達性を確保しつつ、福島-新庄間の乗客のニーズには乗り換えなしで在来線時代よりきめ細かく応えていく」ものであることが体感できました。