汽車旅の記憶(9) 小湊鉄道・いすみ鉄道【2014年6月】

 私は2017年11月、(当時の)日本国内の鉄道全線に「完乗」しました。何をもって「完乗」とするかについては諸説ありますが、ここでは「市販の時刻表に載っている鉄道路線全て(モノレール、ケーブルカー等含む)に乗ること」としておきましょう。
 「完乗」のためには、綿密な計画を立てて全国の鉄道に乗っていくことが必要ですが、そのためには「どの路線に乗ったか」という記録が非常に重要になります。実際、完乗の前には何年もかけて記録を整理したのですが、その中で、「乗ったかどうか」をどうしても思い出せない路線が2つ出てきてしまいました。それが、今回取り上げる小湊鉄道・いすみ鉄道です。
 この2線はいずれも房総半島にあり、小湊鉄道が五井から、いすみ鉄道が大原から、それぞれ上総中野まで通っています。海沿いから延びた2つの路線が内陸部の上総中野で手を携えた形となっているのですが、実は、この2線とも「もともと上総中野をめざして建設されたわけではない」という共通点があります(そのあたりの歴史については省略します)。
 さて、話を戻しますが、「乗ったかどうか」を思い出せないのならば、手っ取り早く乗ってしまおうということで、2014年6月のある日、房総まで出かけました。コースとしては、小湊鉄道で五井から上総中野をめざし、いすみ鉄道で大原に出た後は特急で一気に戻る、という形です。両線とも非電化・単線で、旧国鉄型ないしはその流れを汲む車両も残っており、「昭和の雰囲気を色濃く残すローカル線」として知られています。沿線はのどかな丘陵地帯で、ディーゼルカーにのんびりと揺られながら「初夏の汽車旅」を楽しみました。