汽車旅の記憶(5) 白糠線【1983年8月】


白糠線は、根室本線の白糠駅と北進駅を結ぶ全長33.1kmの路線です。石炭の搬出等を目的として白糠から足寄を結ぶ鉄道として計画された路線の一部で、終点の「北進」という駅名がいかにも「北への延伸の途上」を表しているようです。
私が訪れたのは1983年8月、初めての北海道旅行でした。大学のサークルの合宿が現地解散した後の一人旅でした。釧路に一泊し、翌朝の一番列車で白糠へ。前夜に札幌を発った夜行の急行「狩勝」を見送ってから白糠線の一番列車に乗り込みました。この時、すでに白糠線は「2か月後の廃止」が決定しており、別れを惜しむ鉄道ファンが「一般客」よりもずっと多かったことを覚えています。道東の夏は霧が多く、この日も一面の霧で肌寒いくらいでした。霧がかかり陰鬱な中を始発のディーゼルカーは走り、ようやく霧が晴れたころ北進駅に到着。帰りは一転して明るくのどかな車窓となりました。

