汽車旅の記憶(2) 鹿児島交通枕崎線【1981年3月】

鹿児島交通枕崎線は、鹿児島本線の伊集院から薩摩半島を西回りで枕崎まで結ぶ全長49.6kmの路線です。薩摩半島の東側には、現在も鹿児島中央から枕崎を結ぶJR九州の指宿枕崎線(87.8km)がありますから、かつては薩摩半島を鉄道で1周することができたわけです。
枕崎線には、1981年8月、所属していた鉄道研究部の仲間と来訪しました。伊集院から乗車し、途中の吹上浜でキャンプをしてから、翌日、枕崎まで乗り通しました。写真は吹上浜駅で下車した時に撮影しました。当時としても相当な旧型のディーゼルカーです。乗ってきた列車は単行(1両編成)ですが、この車両は「総括制御」ができず、2両以上連結したときは各車両に運転士が乗り込み、ブザーで発車のタイミングを合わせながら発進させる、という(当時としても)原始的な方法で運行されていました。
超旧型の車両、草ぼうぼうのホーム、バラスト(砂利)のほとんどない路盤など、この写真1枚からも「すでに路線の存続は相当に厳しい状況」であることがうかがわれます。実際、枕崎線は1983年6月の豪雨で大きな被害を受け、部分的に運行を再開したものの、全面復旧することなく1984年3月に廃止となりました。

